日本にはトリプルX女性(トリプルX症候群、トリプロX症候群、XXX女性などとも呼ばれます)に関する一般向けの情報が極端に少ないことに気づき検索したところ、英文ですが、http://www.aaa.dk/TURNER/ENGELSK/TRIPLEX.HTMにとても優れた文章がありました。 はじめに この小冊子は、トリプル]の女性に関してより詳細な情報の必要性から書かれ出版された。 トリプル]の成人女性はもちろん、トリプル]女児とその親により良い情報を提供するために書かれたが、遺伝カウンセラー、医師、教師さらにトリプル]女児や成人女性に関わる人々に読まれることもまた我々の願いである。 あらゆる点についてのより多くの情報は、何よりもまず、トリプル]女性とその関係者にとって貴重なものになるだろう。 Risskov(デンマーク)にあるターナーセンターが、トリプル]女性・クラインフェルター・XYY男性に関する情報提供やカウンセリングや調査の一部として出版した。 トリプル]という名前は? 1960年以降遺伝学者は、以前のような最初に染色体異常を記述した人の名前からではなく、染色体構成からその異常に対し新名をつけた。 トリプル]の頻度は? トリプル]の原因は何? 女性は通常2つのみの]染色体(染色体構成46,XX)を持つ。トリプル]女性は、3つの]染色体(47.XXX)、またはまれにテトラ]と呼ばれる4つの]染色体(48,XXXX)を持つ。非常にまれなケースでペンタ]と呼ばれる5つの]染色体(49,XXXXX)を持つ女性もいる。 染色体構成47,XXXは、余分な]染色体を持つ女性のおよそ半分において見つかる。約5%は48,XXXXがあり、余分の]染色体を持つ女性の約50%には、いわゆる染色体モザイク型(細胞の一部が正常な染色体構成46,XXで、残りが47,XXX)がある。 トリプル]での染色体異常の原因は何? ある種の染色体異常は、より頻繁に高齢の母の子供に見られ、これはある程度トリプル]についても言えるようである。この他に、トリプル](47,XXX)、テトラ](48,XXXX)非常にまれなケースとしてペンタ](49,XXXXX)において発見されるような]染色体の数の増加につながる]染色体の異常分割(いわゆる染色体非分離)を引き起こす染色体異常の原因について、明確には何も知られていない。 トリプル]を持つ新生児女児は、何か特徴があるか? ない。トリプル]女児は、誕生時たいてい全く正常に発育する。ただその誕生時の平均体重値は正常な染色体を持つ女児より僅かに低い。 小児期の発育はどうか? トリプル]女児は赤ん坊のように多少おとなしく消極的のことが多く、通常同胞と比べて発音が劣る。しかし、おとなしくて消極的である赤ん坊も、活発で要求が多い赤ん坊と同じくらい気をつけることが重要であるという事実の認識があれば、彼女らが発育の段階で、様々な状況に影響されることはあまりない。 その比較的虚弱な自立期間に、トリプル]女児を抑制しないこともまた重要である。 トリプル]女児は、他の女児より感情発達の遅れや、多少運動や言語発達の遅れがあることが多いが、患者として扱うことや特別な治療の必要はない。 上述の、幾分発育が遅れるという傾向はあるが、その大部分は、公共施設、幼稚園同様、自宅での精神的、社会的、運動的刺激を増やすことにより、打ち消され防ぐことが可能である。これらの女児が、小児期のかなり初期の段階で、施設でよい日常をおくり、施設や幼稚園でその両親とスタッフが密接に協力することが重要である。 言語発達の遅れがあれば、ある程度の期間、言語教育者援助をうけることが重要である。運動能力発達に関しては、親と子のスポーツ活動、グループ活動やいかなる種類の創造的なものへの参加は大きな価値がある。多少遅れる感情発達に関しても同じことが言える。これに関連し、これらの女児の自立支援と過保護回避が重要と言えるだろう。 17人の非選択トリプル]女児からなるArhusのグループに、きわめて内向的で他との接触が困難な一人の女児がいる。文献ではまれな事例として記載されているが、それはそれとして、これはトリプル]女児の特色を示すものではない。 トリプル]女児は、同胞よりグループ関係で機能するのが幾分困難なことが多いが、小児期のなるべく早いうちからこれらの困難に気づき、様々なグループ関係での機能に関し、これらの女児に刺激と支援をするなら、これらの条件に関して後ほど問題なく機能する。 思春期のトリプル]女児は、同年齢の女児より多くの問題点を持つこともある。同年齢の女児に比べていくら幾分背が高くても、通常年齢のわりに感情的には未熟である。彼女らが小児期の間、刺激と支援を受けず、又学校において十分な支援や刺激と援助を受けなかった場合は特に顕著に現れる。 これらの女児は同胞と比較して、背部障害が増す傾向がある。しかしこの傾向は、小児期にわたり、刺激や体操、水泳そして他スポーツ活動への参加で運動能力を発達させることによって防ぐことができる。 そのような活動で、筋肉(特に背中筋系)の発達が促されるだけでなく、運動能力へ刺激を与え、発達を促し、他の小児との付き合いにおいても意義がある。 トリプル]女児の平均知能は? トリプル]女児が学校はもとより自宅でも、よくて安定し刺激的な環境で育つなら、僅かな例外はあるが、結果として知能レベルが110を超えることを期待することは難しいにしても、ほとんどの女児の知能レベルは正常範囲である。トリプル]女児の平均知能は、同胞や対象群と比べると、幾分低い。しかしArhusでは、35000人の生産児の間で17人のトリプル]女児が診断されたが、その誰にも、知的発育の遅れは見られない。 小児期に、より良いそしてより刺激的な条件下にいるとより高い知能レベルになるという傾向から、一般的に小児期における知能と刺激的な条件には関連性が見られる。 学校生活はどうか? トリプル]女児は普通の学校生活を送るが、特に学校の最初の学年の間、学習困難が生じる傾向がある。これはしかし、必要に応じ教育学的努力を増やすによって改善することができる。学校の最初の学年で最も顕著にあらわれる学習困難だが、全てのトリプル]女児にあてはまるというわけではない。 そのような困難がある場合、自宅と学校の両方で、その調査を行い対処する必要があると知ることは重要である。学習困難は、自宅はもとより学校での矯正指導、支援や刺激によって克服することができる。したがって、両親と教師がこのことを知り、それに対処することは非常に重要である。会話能力に関する問題に関しては、言語治療がなされることが重要である。トリプル]女児は同胞より会話困難の問題を頻繁に抱える。 自宅の条件がよく、安定し、刺激的なもので、トリプル]女児が学校と同じく日施設でもいい条件下にあれば、それほど深刻な学習困難は抱えない。しかし、ほとんどのトリプル]女児はある時期、学校で矯正指導を必要とし、臨機応変にこの援助を得ることは重要である。 疾患が悪化する危険性があるか? トリプル]女児の小児期には、疾患が悪化する危険性はない。 背部障害が幾分増すと言及されており、このことに注意を払うことは重要である。その障害は、スポーツ活動(背中の筋肉強化、持ち上げ方やおそらくまた背中に特別負担のない位置の選択の一般的な情報取得)への参加によって矯正できる。 しかし、成人期においては、トリプル]女性のリスク増加はない。 身長の発育はどうか? トリプル]女児は8歳までは、他の女児よりやや身長の伸びが速く、最終的に2、3cm高くなる。これらの女児の骨年齢は平均して10〜12歳あたりまでやや低い。彼女らには、クラインフェルター少年(通常身長と体重のわりに長い脚を持つ)と同じような特徴がある。トリプル]女児は通常身長のわりに低体重である。 身体的には性発育はどうか? トリプル]女児は思春期発育(初潮年齢が平均12才)を含め、身体的性発育は正常であり、一般的な胸部、体毛の成長そして第二次性徴があらわれる。正常の染色体を持つ女性とトリプル]女性には、性関連と性ホルモン条件に関しての違いはなく、どのようなホルモン治療の必要もない。 トリプル]の女性は子供を持つことが可能か? トリプル]女性の受精率はよく知られておらず、もっぱら実際に子供を持つトリプル]女性の単独的なケースの抜粋から始まる。非選択トリプル]女性の調査が、デンマーク、カナダ、アメリカそしてスコットランドの50人のトリプル]女児新生児診断によりようやく行われた。今のところ、これらの女児の最高年齢は20才である。これらの女児が40才にならないうちは、トリプル]女性の受精率のついての詳細は得られないだろう。 しかしながら、トリプル]の女性は妊娠し、子供を持つことが可能で、その妊娠率はだいたい普通であるということは知られている。そしてまたトリプル]女性の子供たちが受けた染色体検査で、彼らの染色体は正常で、トリプル](47,XXX)やクラインフェルター症候群(47,XXY)を持つ可能性も薄いということが分かった。 以前の研究で、トリプル]女性は早期の更年期(すなわち月経の停止)を起こす可能性があると言及された。しかし、これについての明確な証拠はない。また上述の非選択トリプル]女性のグループが40〜50才に達するまで、閉経の時期の決定は不可能である。 出生前染色体検査が可能なデンマークや国々では、トリプル]女性はそのような検査を受ける可能性があるが、これらの女性が染色体異常の子供をもつリスク増加はほとんどない。 トリプル]の女性は正常か? トリプル]の構成が記載されてから、当初はこれらの女性は 「super female」と表現されることもあった。しかしこれは違う。彼女らは、正常な性染色体(46,XX)を持つ他女性より優れているわけでも劣っているわけでもない。彼女らは正常な女性の特性を持ち、他の女性と同じように結婚も子供を持つこともそしていい妻や母になることもできる。 職業と作業持続性はどうか? 以前の言及のように、成人期のトリプル]女性に関する職業や作業持続性についてはほとんどまだ知られていないが、約50人のトリプル]女児(前に記述。出生時から現在に至るまでの14〜20才)の追及から、その主な職業範囲は手作業であり、学問の教育をうけた女性は比較的少ない。 トリプル]は病気? 病気ではない。トリプル]の女児と成人女性は絶対に病気と考えられるべきではない。両親や彼女ら自身に対する詳細な情報があり、学校でもいい刺激的な環境の中にあり、特別な刺激と矯正指導を受けることで、彼女らは出生時から14〜18才に至るまで正常な範囲内で育つというのが、我々がここデンマークで得た経験上言えることである。 トリプル]女児には、他の一般女性と異なる特別な障害やその後増加する危険性、そして特別な身体的徴候はない。 精神障害が悪化する危険性があるか? 上述の、誕生時から14〜20才に至るまで追跡調査されている50人のトリプル]女性のグループには、兄弟や対照のための非実験グループと比較しても、精神病が悪化する危険性はない。 必要に応じ、学校で特別な刺激と矯正指導はもちろん、家でも愛情、サポートそして刺激を伴ういい環境で育ったトリプル]女児には、精神障害が悪化する危険性はない。 トリプル]女性が育った環境が、十分な刺激やサポートが乏しい場合、クラインフェルター男性(47,XXY)にも見られるように、兄弟と比べると精神的問題を抱える危険性が僅かに増す可能性がある。トリプル]女性の精神障害の危険性についてはあまりよく知られていないのが現状である。精神障害を持つという理由で診断されたトリプル]女性から得た多大な知識そしてそのようなデータをもってしても、精神病の実際の危険性の総合的な所見とはなりえない。しかし、精神病のトリプル]女性に対しては、他の同タイプの疾患と同じく、治療を受けるべきだ。 両親は詳細な情報を持つべきか? その通り。トリプル]女児の両親は常に詳細な情報を持つべきである。両親は、彼らの娘の日常生活の中で、そして願わくは誕生時からできるだけ早く、トリプル]についての十分な知識を得ることは重要である。 このことは、多くの理由により重要である。特にそのことで彼らがトリプル]の娘のために、あらゆる面での最大の刺激と公共施設、幼稚園、学校そしてユースセンターを通して援助を得る可能性、最善の可能な条件を生み出すことができる。 これらの子供たちが、グループ活動や自立、成熟そして過保護の回避に関して支えられることは重要である。 トリプル]女性は詳細な情報を持つべきか? 我々の経験だが、トリプル]の女性はクラインフェルター症候群の男性やターナー症候群の女性と同様、詳細な情報を持つべきである。彼女らが、学校や日常で問題を抱えているならなおさらである。彼女らはこれらの問題の理由を知り、また自宅はもちろん学校でも矯正指導、刺激とサポートによって何かできるということを知るべきである。彼女らはまた、一般的にスポーツ、創作活動そしてグループ活動に参加する重要性を知るべきである。 トリプル]女児にトリプル]とは何かを言わないことでその女児を保護することは間違いである。彼女はいずれにしろ常に彼女自身を見破ろうとする。そしてそれを隠し立てすることで、たいてい不安になり、両親、医者や大人への信頼をなくすだけである。 トリプル]についての情報は、小児期と成人期両方におけるトリプル]女児に関する正しい知識と経験を持つ人、経験豊かな人によって伝えられるべきである。 もしコンタクトグループ(対照のための非実験グループ)があり、問題を抱える女性か両親がグループのメンバーと話すことに興味があれば、情報はトリプル]のグループのメンバーによってもまた伝えられるべきである。 出生前にトリプル]胎児と診断された両親にどのような情報が伝えられるべきか? 1970年〜84年、デンマークで出生前の染色体検査でトリプル]と診断された33人の胎児のうち22人(76%)が中絶され、1985年〜87年には、トリプル]を持つ16人の胎児のうち9人(56%)が中絶された。 特に細胞遺伝学研究所(Risskov)と、アメリカ、カナダ、イギリスとデンマークのトリプル]の非選択女児のグループの臨床検査からトリプル]の情報が改良された後、トリプル]の胎児の中絶率が下がった。 トリプル]の胎児の場合、両親は妊娠を継続するか人工妊娠中絶をするか、彼ら自身で決めることになるが、その決定は、カウンセラーの情報、そしてそのカウンセラーのトリプル]胎児の中絶に対する何らかの考え方やマイナス面を重要視するという背景をもってなされる。 出生前診断カウンセラーにとって、文献上の選択された症例(問題の女性や女児がいくつかの身体的または精神障害があるという理由で診断)よりむしろ以前言及された約50人の非選択トリプル]女性の調査からの情報を重要視することは、大変重要である。 成人期のトリプル]女児の知能、学習能力や発育に関しては、幼児期、特に家や公共施設と学校で受ける刺激の状態におおいに関連するということが強調されなければならない。 我々の経験上、もしこれらの状態がよければ、たとえ彼女らの知能が正常範囲より下回ることが多くても、トリプル]女児は普通に発育するということが言える。 胎児検診において、トリプル]の胎児の中絶をほのめかしたり、勧めたりすることは、特に彼女らが以前記述されたようないい環境条件下で育つなら通常普通に発育するトリプル]女児に対する明らかな差別であるというのが、私の意見である。 市民はトリプル]の情報を持つべきか? 市民に対するトリプル]についての情報は、トリプル]女児や成人女性について正しい知識を持つ専門家によって伝えられるべきである。その情報は、現存のコンタクトグループ(対照のための非実験グループ)と密接な協力をもって伝えられるべきである。 我々医師は、通常、障害と偏向について市民に詳細な情報を与えることに関する教育を十分受けていない。私の経験から、いかなる染色体異常も正しく理解することが重要で、安易に入手した情報を鵜呑みにすることは、あまり評価されるべきでないということが言える。そしてこのことがまたトリプル]についても言えることである。
トリプル]のコンタクトグループ(対照のための非実験グループ) カナダ、アメリカ、オーストラリア、デンマーク、イギリス、ドイツ、スペイン、フランス、スイスなど多くの国々で、ターナーコンタクトグループがあり、カナダ、アメリカ、デンマークにもターナーコンタクトグループの国際的組織があるように、他の国々でもトリプル]コンタクトグループを持つべきである。最近我々はデンマークで、トリプル]/クラインフィルターコンタクトグループを立ち上げた。このグループはこれまで3回会合し、次の原文からフォルダを出版した。「クラインフェルターとトリプル]の人々・家族のためのcontactグループの建設には1988年ヨハネスニールセンが、クラインフェルターとトリプル]家族が初めて会合した会議に招かれたという背景がある。 我々は、我々が共通に抱える考えと問題について議論することが刺激的で有益であることを見出した。そして、この会議は結果としてほぼ一ヶ月おきに会合するコンタクトグループになった。 我々は、幾つかの理由によりコンタクトグループ設置の必要があると考える。とりわけ重要なことは、同じ染色体異常の子供を持つ家族同士が話し合い、触れ合うと必要があるということである。これから先、クラインフェルターかまたはトリプル]の子供の親に対し、よりよい情報を提供し、後にまた彼らを勇気づけ、進行中の研究に対し支援を行い、可能ならば改善するというようなかたちで貢献したいというのが我々の願いである。クラインフェルター/トリプル]コンタクトグループの国際的組織設置の必要があれば、言うまでもなくこれについて審議する。 コンタクトグループの会議の意図は、大人も子供も互いに知り合い、経験談を交換し合い、互いを支える居心地のよい時間を持つことである。我々は更なる情報で貢献できる人々(専門家もクラインフェルターとトリプル]の大人も両方)を招待するだろう。 更なる情報:ベンテニールセン、telf 86-29 29 61(トリプル]家族代表)そしてHakon Wellnitz telf 86-17 47 63(クラインフェルター家族) クラインフェルター・トリプル]コンタクトグループと、クラインフェルター男性とトリプル]女性に関する情報は、Johannes Nielsen,Cytogenetic Laboratory, Arhus Psychiatric Hospital, DK-8240 Risskov. Telf 86-17 77 77, 内線3680まで。 |